第40章 目をそむけたい

だいじな話
11月18日、主治医からこれから先のこと、
だいじなのことなので家族にも聞いてもらう必要があると言われました。
このあいだ、産婦人科で聞いた卵子保存(らんしほぞん)の話を家族に確認をとるとのことでした。
家族がくるからか?病室ではなく、別の部屋に呼ばれました。
参加者は、主治医と私、夫、ナースでした。
事前に、夫には話をしていたので前置(まえお)きなしで、話がはじまりました。
主治医がいうことには、卵子保存のタイミングとして今回の排卵日に卵子をとらなければならないこと
とれたとしても、治療は遅延することになること
主治医としては、遅延(ちえん)はのぞましくないという話でした。
卵子をとるタイミングについては、産婦人科医からも同じようなことをいわれました。
実際に卵子保存については、行うとすれば専門の病院に行っておこなうことになるため、紹介状をかく必要があるとの話でした。
ただ、卵子保存はかなりの費用(ひよう)がかかるといわれました。
また血液検査で、子宮機能(しきゅうきのう)がはたらけているかどうか?
卵子が作れているかどうか?
そういったことのくわしいことが、一時退院後の11月25日にわかるということでその日の来院(らいいん)をすすめられました。
自室に戻ると、主治医からやはり治療は遅らせたくないと再度話がありました。
私の気持ちはどこへやら・・・聞いてはくれないのか?そう思いました。
納得(なっとく)いくまで話をしてほしかった、
話を聞いてほしかった、
泣かないときめていたのに、なみだがとまらなくなりました。
イライラさせないで
当初、予定していた11月16日が過ぎても、一時退院の話は聞かれませんでした。
何で退院できないのか?
どうなっているんだろう?
そう思っていたところに主治医から、卵子保存について産婦人科にもう一度行ってほしいといわれました。
産婦人科医師が、先日家族と話をしたことの内容を聞いたうえで、血液検査で卵子が正常に作れているかどうかがわかるからとのことでした。
そのうえで、11月25日に外来にて結果を聞きにきて下さいということでした。
自室に戻ると、主治医が念(ねん)をおすように治療がおくれると命にかかわると連呼(れんこ)してました。
そして、つぎのことばにおどろきました。
『明日、一応やることがないので退院になります』
何かマニュアル的ないい方だなぁ~
やることがないって・・・患者の話をきくことはやることじゃないのか?
またイライラしてしまいました。
最近、よくイライラするようになってきていました。
患者をイライラさせていいのか?
本来は、いかにイライラなく
不安なく、
治療するのが医者じゃないのか?
その点は、もうここまできた私にとって主治医はいるけどいない感覚でしかありませんでした。
ただ、このイライラ主治医だけのせいではなくプレドニゾロン(ステロイド剤)の副作用であることに私は、あとあとまで気づきませんでした。
第41章 顔が・・・

おそるべし
病気になって一番に感じたことが、薬の副作用のこわさでした。
ネットやナースのみなさんから情報をもらっていても、実際にそうなってみるとやっぱりショックはかくせないものでした。
プレドニゾロン(ステロイド剤)をのまなくなっていたので、そのことについてあまり意識(いしき)していませんでした。
ふと、洗面所のかがみにうつる自分の顔をみてやはりむくんできている気がしました。
なんとなく?気のせい?と思ってみていましたが、気のせいではなさそうでした。
私の中では、プレドニゾロン(ステロイド剤)のんでないのに!なんで?という気持ちでした。
この薬とやらは、体に蓄積(ちくせき)されることで効力(こうりょく)を発揮(はっき)するもので、
これから先もずっと、そのことに悩まされることになっています。
これはなんの副作用だろう?
いつも思いますが、ほとんど同じような副作用がかかれているのではっきりとこれだ!といえるものが見つからないのがいつものことです。
今回は、スプリセルの副作用かなぁ?
ついでに、お肌がカサカサになっていました。
湿疹かな?
11月26日になってそれは、赤いハンテンのようなものにかわりました。
私は、昔からお肌ツルツルで化粧(けしょう)も、あまりしないようなお肌でいました。
顔に自信があったわけではなく、
アレルギー体質(たいしつ)だったので、ファンデーションなどが肌にあわずにかゆくなってしまうといったことがあったので化粧はせずにいました。
思いだしちゃった
化粧のことで、思い出したことがあります。
かれこれ、10年以上前にとある特別養護老人ホーム(とくべつようごろうじんほーむ)に就活中(しゅうかつちゅう)に面接(めんせつ)にうかがったところ
面接に立ちあった施設長とやらに、大変ハラが立つ行為(こうい)をうけたことがありました。
当日、現場の責任者(せきにんしゃ)が今日はお休みであると説明がありました。
いろいろ聞かれるうちに、カチンとくる話になりました。
面接開始から、視線(しせん)といい、
ことばの言い方についてもなんとなく、
あやしい?いやらしい?感じをもってました。
こういう感は、女性の第六感(だいろっかん)とでもいうのでしょうか、
『あなた化粧は?しないの?』
私は、一瞬(いっしゅん)きかれたことの趣旨(しゅし)がわかりませんでした。
私の答え
『化粧品があわずにかゆくなってしまうので、していません』そう答えました。
『しないといけないね』
この会話みなさん、ご理解できますか?
そのあと、こうもいわれました。
『うちの職員で化粧をしていないものはいない』と
私は???
化粧をすることが、仕事になにか意味をもつのか?
私には、その理由がわかりませんでした。
おわったあとの帰り道はもちろん、イライラしてました。
そんなとこ絶対(ぜったい)にいかない!
後日、当日休まれていた責任者から電話連絡がきました。
『うちの施設長がひどいことをいったようで・・・』
私は、彼女に確認してみました。
みなさん、化粧をされているのかどうか?を
どういう意図(いと)で、その話をされたのか?
その答えは、『私も含めて化粧をしている職員はすくない』
『接客業(せっきゃくぎょう)という意味合いでそういったのではないか?』とのことでした。
たしかに『化粧は女性のたしなみ』といわれることもありますが、この介護の仕事においてというより
すべての女性が化粧をしなければならないというルールはないはずです。
女性それぞれには、化粧ができない人もいるものです。
ほんのささいなことですが、そいったことを理解し話をしながら受け入れていくことがトップにたつものとして必要では?と感じます。
電話をいただいてもうしわけなかったのですが、おことわりをさせていただいたのはいうまでもありません。
おふろのシャワー
しばらくたっても、顔の状態はよくなりませんでした。
私にも、おんな心があるようでこのことについてはガッカリし
どんどんひどくなっていったらどうしよう
やだなぁ~としか思えなくなっていました。
そういえば、皆様に入浴室のお話はしていませんでしたね。
浴室は、8畳(じょう)ほどの広さにシャワーが2つあるだけで湯舟(ゆぶね)はありません。
寝たきりの方がはいるためのストレッチャーが、一台脱衣室(だついしつ)に配備(はいび)されています。
基本(きほん)みなさんシャワーのみの利用を与えられた30分以内で、おわらせなければなりません。
前の方がおそいと、ずれこまないようにがんばっておわらせる必要があります。
体の不自由がなければいいのですが、時間をまもらない方も中にはいらっしゃる状況でした。
また、時間がくれば関係なく入ってくる人もいます。
入浴時間は入り口ドアに予定表がはってあり、かきこむようになっています。
このところ、シャワーが体にかかるとヒリヒリと痛みがでるようになっていました。
気のせいかな?と思って保湿用(ほしつよう)のクリームをぬることにしました。
これは、やがておとずれることの前兆(ぜんちょう)だったことにのちのち気づきます。
ちょっとひどいかな?ひとまず見て見ぬふりをしたい気分でした。
そんな中で、よいこともおきました。
いままで、激痛のためにできなかったことができるようになってきました。
ホント、あんなにつらかったそう『セキ』ですが、ふと飲み物をのんだ際にうまくのめなかったようで、
一瞬しまった!と思ったのですが、いがいにすんなりと出すことができました。
お?もうひとつは、なんと『笑うこと』もできました。
長いこできなかったことが、自然とできることはホンとに幸せなことだなとあらてめて思いました。
ほんとに痛くてできなかった。
このぶんでいけば、たぶん『くしゃみ』も大丈夫かも?
第42章 直前にいいわたされる

やったぁ退院だ!
一時退院ではあるけど、やっぱりうれしいことには変わりがありませんでした。
ただ入院してから、よくあることとしてなんでも直前に前置(まえお)きなくいわれることがけっこうありまして、
今回もそのたぐいみたいで、主治医から一時退院のその日に『検診(けんしん)をうけにいってください』といわれました。
なんの検診?
どこに行くの?田端(たばた)駅って?
しらべてみると地下鉄もJR駅からも、ちょうど真ん中に位置していて徒歩10~15分のところにその病院はありました。
けっこう距離(きょり)があるんだなぁと感じました。
主治医からいわれた検診とやら、 セカンドオピニオンらしきといわれました。
こちらとしては、まただよ、聞いてないのにのパターンでしかありませんでした。
セカンドオピニオンって、現状の治療で納得していない人が確実な診断がほしくて別の病院にいくことだと思っているけど
なんだかよくわからないなと思いました。
さて家に帰った私が、最初にうかがったところはあの整体院(せいたいいいん)でした。
とりあえず、先生のおしゃっていたとおり、体の中の異常(いじょう)だったことを伝えるために伺いました。
その整体院の先生はけっこう、不思議な印象(いんしょう)が強くあります。
以前はそんなにくわしく、その整体院をご紹介していませんでしたが、私の家から歩いて15分ほどのところにあります。
ちょっと古めかしい感じの地元にある、ちょっとあやしげで見落としがちな整体院みたい
おこられそうですが・・・
私はきっとなにかの縁(えん)でひきよせられたのだと思いますが、なんとなくこの先生はすごいのでは?と思ってました。
この体になにごともなければ、この整体院には行きついていなかったと思います。
その先生に、『白血病』になったことを伝えました。
『やっぱり、体内の異常だったか』
そうおっしゃいました。
ふいに、あのころのことが思いだされました。
痛くて、痛くて、
よく生活できていたなと、そう思いました。
そしてもちろん、もう1か所うかがったところはいきつけだった居酒屋さんです。
お酒は、以前のようにのむことはできませんでしたがおいしいものはやっぱりどんな人も元気にしてくれるものだと感じました。
もうこれで、私の話はハーッピーエンドとしたいところですが、ちなみにまだまだ治療ははじまったばかりでありました。
第43章 セカンドオピニオン?なのか?

よりによって、田端駅までってけっこう自宅からかかる距離(きょり)です。
電車をのりついで、その病院まで1時間30分以上かかりました。
退院前にがんばって階段のリハビリをしてはいましたが、安上がりにと考えるとどうしても病院までの道はタクシーやバスの利用は考えられませんでした。
ただ、やはり駅からの距離(きょり)はけっこうありました。
バスの方がよかったのかも?と少し後悔(こうかい)しました。
休みながらも病院まで一本道をひたすら歩きました。
やっと着いたころには疲れもピークにたっしていたそのときでした、目にはいってきたものが!
『思わず病院なんてどうでもいい!』
と思ってしまうほど、それはそれはゴールド色をしたあいくるしい大型のお犬がしっぽをふっている姿でした。
あ~ずっとここにいたいと現実逃避(げんじつとうひ)してみますが、しっぽをふったお犬さんを前に現実にもどるしかないなと、
うしろ髪(がみ)をひかれながらも気持ちを切りかえて、
お犬に背をむけてあるきはじめました。
目の前にそびえたつそこは、かなり大きな病院で外来の入り口がどこにあるのか?行けども行けども、わかりませんでした。
やっと入り口にたどりつき、受付(うけつけ)をすませると院内がかなり広いためか、ポケベルらしきをわたされました。
待合室(まちあいしつ)のイスでまつこと30分ほどして、ポケベルがなりました。
しめされた表示をみると『小児2?』とでてました。
どこだ?しばし院内迷子になりました。
けっきょくわからなくて、受付にもどって確認して診察室(しんさつしつ)までいきました。
無事、診察室にはいると、
ひとりの初老(しょろう)の医師が自己紹介(じこしょうかい)とセカンドオピニオンであること、
白血病とは?等々話をはじめました。
そして、室内にはもうひとり、今後担当してくださるコーディネーターさんがいて、
その方から、移植についての説明が2時間以上ありました。
私は『ん?』という心境(しんきょう)でした。
というのも検診(けんしん)とだけいわれていたので、またいろいろ検査するのだと思っていました。
私としては、あの主治医の診断『白血病』ということがホントそうであるのかどうか?を証明するためにセカンドオピニオンをするのかな?とか
主治医からなにも説明をきかされていなかったので、わけのわからない解釈(かいしゃく)をしていました。
医師もコーディネーターの話も順序(じゅんじょ)だててわかりやすく説明をしてくださったので、
時間も忘れて質問をしてしまいました。
なんだか、お腹すいたなぁ~
そう思ったところで、『今日は血液検査のみ』といわれました。
おなかもすくはずです、時刻(じこく)は14時をすぎていました。
セカンドオピニオンがおわり、入院中はしっかり定時(ていじ)に昼食をたべていたので、
また、貧血症状(ひんけつしょうじょう)をおこすのでは?と不安になりました。
なんとか大丈夫そうで、院内のコンビニで食べ物をかって食堂ですませました。
ちなみに、みなさんさんなぜこの病院にきたのか?気になっておられることと思いますので、説明します。
実は、私が入院している現時点での病院では白血病患者(かっけつびょうかんじゃ)に対する治療の中でも『骨髄移植(こつずいいしょく)』はおこなっていないため
その治療をおこなっている病院に、今後治療がすすんでいくと転院(てんいん)しなければならないということで、
入院している病院が提携(ていけい)している病院ということで、移植前の状態把握(じょうたいはあく)のためにこの病院へいくようにといわれたわけです。
これってセカンドオピニオンっていうのかな?とやっぱり私は?でした。
ただ、医師もコーディネーターも優しい感じでした。
そう思うとやはりくらべていけないけど、主治医って冷たいなと思ってしまいました。
帰りも、駅までは歩きましたががんばりすぎたせいか背中あたりに痛みが出てきました。
それはなんともいえない、おもだるい感覚でした。
立ちあがるのも、
座るのもしんどいと感じて、
からだがなんだか熱っぽい気がしました。
あ~やっぱり体温計ではかったところ、38℃を超えていました。
そのあとは、早めに横(よこ)になりました。
明日も熱が続くのかな?
そうなったら、一時退院をきりあげて入院がはやまるのかな?ということを考えたりして思わず、
『やだな・・・熱よ下がれ!』
とそう思いながら、ねむりにつきました。
第44章 治療のゆくえ

楽しい時間はあっという間に・・・といいますが、昨日の熱のせいかわたしは
ねこんでしまいました。
さて、なぜ熱がでたのでしょうか?
このときの私は、セカンドオピニオンのためにがんばって歩いて病院までいって疲れてしまったせいだと
それが原因なんだときめつけて、
それしか考えられないと思いこんでいました。
母にも、セカンドオピニオンにいってきたことを報告した際にこれからうけるための移植をする病院にいったけど、
帰宅後に熱がでていることを伝えた際に、
『無理しないでタクシーをつかえばよかったのに』といわれる状況でした。
母には、やはり金銭的(きんせんてき)なことを考えて歩いたことを伝えましたが、
病気をすると、かなりなお金がかかります。
2020年5月現在も治療は続いていますので、おわればみなさんに総額(そうがく)をお伝えしたいと思っています。
前にもお話していますが、どうしてもがんばりすぎてしまうところは病気になってもかえられないものですね。
ただ、この熱ですが今にして思えば遠方(えんぽう)はるばる、
たかが電車でセカンドオピニオンにいっただけで出るものなのか?と不思議に思えますが、
先入観とはおそろしいものだ、とそう感じます。
私の中では、もうすでに疲れのせいだときめつけていたのでそれ以外のことは考えられなくなっていました。
これは結果的(けっかてき)に、このあととんでもない展開(てんかい)をむかえてしまいます。
病気の治療をされている方は、ごぞんじの方が多いと思われますが治療の過程(かてい)ではいろんなことがおきます。
その過程の中で、なにごともきめつけてしまうことでなにかあったときに柔軟(じゅうなん)に
患者も医師も対応できなくなるといったことがおきやすくなります。
ホンとによくなったと思う日もあれば、
次の日には悪くもなる、
そういったことのくりかえしかもしれません。
そのための忍耐(にんたい)は、はかりしれないものになります。
そのため、判断(はんだん)を間違えてしまうとのちに重症化(じゅうしょうか)してしまうこともあります。
つねに治ることをねがって、日常をすごさなければならないのは病になったものにとって
どれだけプレッシャーをかかえることになるか・・・
その負担を少しでも軽くするためにも、ものごとを柔軟に考える
あるいは、そういったことをアドバイスできる環境こそが、
病を回復させる近道になると私は思います。
明日は、少しでもましですごせますようにと祈るばかりです。
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